「ぼくは農家のファーブルだ」谷本雄治著を読み聞かせして
  • 読んだ日: 2019年8月
  • 読んだ時間:30分×5日
  • 子供の年齢:6年生
  • メインテーマ:農薬を使わない農業

小学6年生の末娘の双子。もう読み聞かせも終わりと思うと、意外と寝る前になると相変わらず二人そろって、私が本を読むのを聞いてくれます。

この本はちょっとテーマが固くて、最後まで読めないかと思ったら・・・意外な発見が沢山!あっという間に最後まで読んでしまいました。

農家は農薬に苦しんでいる

この本の作者石川榮一さんは神奈川県海老名市の農家。
子供の時から好きだった農家を継がれました。

農業高校や専門学校で学んだ温室でのトマトづくり。最初は順風満帆。結婚もされ、お子さんも生まれ幸せな毎日だったのですが・・

数年したことから、ネコブセンチュウやオンシツコナジラミという手ごわい害虫に襲われ始めます。

農薬は、農家の方にとっても出来れば使いたくないものなのだそうです。

なぜなら、農薬は使う人の体にも良くないから。また、消費者の方のことを思うと使いたくないという気持ちは農家の方にとっても大きいのです。

でも、害虫に襲われてトマトの実がならなかったり、黒ずんだトマトが出来てしまったら・・どうしても農薬を使うしかないと考え、仕方なく石川さんは農薬を使いました。

農薬は量を増やしてもやがては効き目がなくなる

しかし、農薬は撒けばいつでも害虫がいなくなるというものではないのだそうです。

何回か撒くと必ず、その農薬に耐性を持つ害虫が出てきてしまい、効き目がなくなるのだそうです。

そうなると、量を増やしても効果は変わらなくなっていくのだそうです。

農薬より強力な薬は昆虫だった

害虫と戦う10年の年月。石川さんは悩みつつ毎日野菜の世話をしていたところ、農業試験場から紹介されたのが害虫の天敵の昆虫だったのです。

トマトの大害虫であったオンシツコナジラミの天敵「オンシツツヤコバチ」のさなぎを張り付けた「マミーカード」というものでした。

実はヨーロッパでは、農薬の代わりに天敵である昆虫を活用することが何年も前から開始されていたのです。そして、やっと日本にも紹介され始めたのでした

農薬と使い方が全く違う天敵

農業に対して柔軟な考え方を持つ石川さん。他の農家の方が、疑って使わない天敵の昆虫を積極的に自分の農園に取り入れていきます。

ですが最初、天敵の導入はうまくいきませんでした。

石川さんは、天敵を農薬と一緒と考えて、効き目が少ないととにかく何回も沢山マミーカードをトマト畑に設置しました。

でも思うように効き目は上がりませんでした。

そこで、夜も昼も考えて編み出した方法は・・「とにかく虫を観察する。」という方法だったのです。

粘りづよい観察と記録で天敵の使用方法を編み出す

最初はうまくいかなかった天敵の活用ですが、石川さんは諦めませんでした。

でも、天敵を販売する会社からもらったルーペが答えを見つける鍵になりました。

ルーペで見た虫たちの姿は新鮮。天敵も害虫もルーペで覗くと、とても面白い・・石川さんは感動して見つめるうちに、それぞれの色々な性質に気づき始めます。

そして発見した内容や虫の数を、それぞれのエリアにつけた区画番号ととも記録していくことにしました。

そして、
・ 沢山害虫がいるエリアに集中的に天敵のマミーカード(蛹をセットしたカード)を設置する。
・ それぞれの虫に活発に動ける温度があるので、天敵がうまく活動できるようハウスの温度を調整する
・ それぞれの虫が卵から蛹・成虫になる期間を把握して、設置する

などの工夫をして、天敵の力を最大限発揮できるようにする手法を編み出していったのです。

農薬と天敵(生き物)は考え方が違う

農薬を使っている時石川さんは害虫を全部殺してしまわないと、と考えていましたが、天敵を使ううちに「我慢できる範囲なら害虫もいても良い。」と考えるそうになったそうです。

確かに、農薬ほどの殺傷能力のない天敵ですが、身体に悪い農薬を使わなくて済む、受粉のためのミツバチを使える、農薬のように途中で効き目がなくなることがない、など沢山良いことがあったからですね。

役に立たない虫も草もない

そして、虫たちと付き合ううちに石川さんの土や植物全体、昆虫全体に対する見方もは変わっていったと言います。

すなわち

・「害虫」と呼ばれる虫は、沢山いる虫の一部に過ぎず、残りの虫は、みなお互いに関係しながら畑の土や環境を守るのに役立っている。

・そして、畑の周りや中に生えている「雑草」も、害虫を引き受けてくれたり、予測するのに役立ったり色んな意味で役に立っている。

・農薬や除草剤を使ってしまったら、それらの良さを全て失ってしまうことになる。

ということに気づいたといいます。

同士と出会い・大学で教えるまでに

石川さんが色んな発見をし、自分の考え方を変えていったところ、天敵の研究会が立ち上がり、熱心な仲間とも出会うことが出来たそうです。

そして、その考え方は全国に広まっていき、教えてほしいという方の声が広まり、最終的には石川さんは東京の大学で教えるまでされたそうです。

実際に農家の方が得た知識は、大学の先生の知識を越えることもあるということですね。

環境も人間も大切にする自然の力を活用する農業

この本を読んで今まで「有機農法」「自然農法」という農業を今まで「農薬を使わない」「農薬を減らす」→「身体に良い野菜が採れる」という軸でしか見ていなかったのが、そんな単純なものではないのだということを知りました。

観察力と忍耐力のいる方法だけれど、自然の力を活用する農業は、自然環境も、農家の方も、野菜の消費者である私たちも守れる素晴らしい方法だということを知りました。

でも手間がかかるということも良くわかりました。

この本を読んで、これからは生産の方法も良く理解した上で、自分たちの食べ物を買ういくべきだということを親子ともども感じたのでした。

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